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森博嗣 『εに誓って』 感想

純粋さを保ったまま、生きていこうとしていた。
どちらかを捨てるべきだったのだ。
(本文より)





『εに誓って』
森博嗣 作

バスジャック。
犯人は都市部とバスに爆弾を仕掛けたと宣言する。
バスに偶然乗りあわせてしまった山吹早月と加部屋恵美。
乗客名簿に記されていた団体名は「εに誓って」。
一連の事件に現れるギリシャ文字は何を意味するのか。
謎を抱えたまま、バスは疾走する。

Gシリーズ、『φは壊れたね』から順に読んできてこれが4作目だが、最高傑作である。
(うわ~、最高って言っちゃたよ)
とにかく、思わず最高傑作だと言ってしまうほどに面白かった。

まず、トリックだ。
久々に完膚なきまでに騙された。
ゆえに謎解きの場面の爽快感は尋常ならざるものがあった。
『τ』では狐に抓まれた様な感じだったが、今回はガチ。
もう、これぞミステリーって感じである。
いや、もちろんその可能性を考えなかったわけではないのだが、なんていうか、これは仕方ないよね。
だってね。
だってね…。
あー!!
とにかく、 読めば分かる!

そして、『有限と微小のパン 』以来、鳴りを潜めてた森氏の文学的表現というか、詩的表現が今回はふんだんに盛り込まれていたことも嬉しかった。
『有限と微小のパン』のクライマックスはホントすごかったからね。
言葉の持つ綺麗さを知った瞬間だった。
厨二病だからこういうの好きなんだよ。

さて、Gシリーズ第1作の『φ』を読んだときは正直あんまり面白くなくて、このシリーズ大丈夫なのか、と心配になったのだが、回を重ねるごとにどんどん面白くなってきた。
『ε』でいったん臨界に達したと言って良いのではないだろうか。

ここで思い出したのは、森博嗣の一番最初のS&Mシリーズだ。
このシリーズ、第1作は『すベてがFになる』であるが、書かれた順番としては『F』は4番目で、デビュー作にインパクトのあるものを持ってくるために第1作になったという経緯がある。
森氏としては1作目から徐々に面白くなっていって『F』で大きく盛り上がることを想定していたらしいが、出版の都合でそれが出来なかったのである。
(このことはどこかで森氏が言っていた)
つまり、S&MシリーズでやれなかったことをGシリーズでやったのではないかと、僕は思うのだ。

Gシリーズは全12作の予定らしいが
今後、同展開していくのか。
ギリシャ文字に込められた意味は何なのか。
気になって仕方がない。

そういえば、萌絵ってこんなお姉さんキャラだったけ?
S&Mの頃はそんなことなかったと思うんだけど….



本作は自殺に関する考察も深い。
森博嗣の作品だと『迷宮百年の睡魔 』あたりでも自殺に関する哲学的議論がなされている

世間では自殺はよくないことだと言われている。
本当にそうなのか?
自殺は許されないことなのか?

家族が悲しむから?
病気で長く生きられない人がいるのに自ら命を絶つのは不謹慎だから?
人がひとりいなくなることによる社会的損失があるから?

じゃあ、

家族がいなければ死んでいいの?
余命が宣告された後なら死んでいいの?
社会的に役に立たない人間なら死んでいいの?

自殺してはいけない理由が無数に考えられるように、
自殺して良い理由も無数に考えられる。

僕は死にたいと思ったことのある人間が普通だと思う。
むしろ、死にたいと思ったことのない人間の方が異常なんじゃないのか?
どうしようもなくなったら死ねばいい。
そう思えるから、なんとか今日を生きていける。
そんな気がするのだ。


最後に本文より

だけど、死のうと考えることは、きっと自由なのだ。
それを考えられることは、人の尊厳の一部。
考えても良い。
考えるべきなのだ。
そして、考えても死なないことに、価値があるのではないか。
結果として、死ななかったことに、価値があるのではないか。



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